hdnprgの日記

アンドロイド、ヒューマノイドを扱った小説を、思いつき次第公開します。諸事情により、他サイトでも投稿中@hdn_prg

廃棄

【好きなシーンメモ】電脳は命の最期まで文を書く

彼女は返事を書く。『あ、佐藤さんからメールだ。・・・うん、そうなんだよ、英語がむずかしくて困ってるんだ。今日の授業の助動詞とか、もうぜんぜん分からなくて・・・チャットで教えてもらえますか?っと・・・送信っ』ポロン『お、もう返信来た。チャット、今すぐ…

【好きなシーンメモ】捨て石役の居るバトルシーン(人形/ロボットの破壊シーンあり)

筋骨隆々とした男の全周を、人の背丈と同じ体躯を持つ7体の人形が取り囲んだ。広場の奥から、燕尾服を着込んだ男が現れる。背後に、ひときわ美しい少女型の人形を従えている。燕尾服の男は、巨大なめがねの裏でにまりと笑う。「開演の時間だ。お前に選択肢は…

極熱に散る桜(上)【メカバレ・残虐な表現あり】

残酷な表現(メカバレ表現を含む)があります。また、このお話には男性しか出ません。それでは、どうぞ。 <直也>夕方、開店前の店内を掃除。俺は手を止め、店を見渡す。俺は、この店のトップホスト。夜のひととき、花開くような最高の夢を見せている。でも、あ…

【小説】劣化「させられる」ロボット

家族がくつろぐ、リビングルーム。その隅に、大きな布が被せられた家電がある。十歳台前半の少年を模した、ロボットだった。 ロボットがこの家にやってきたのは、7年ほど前だった。 たくさんの洋服を買い与えられ、毎日とっかえひっかえ着せ替えられた。そし…

【艦隊これくしょん解体SS】窓の無いあの部屋で

はじめに ブラウザゲーム「艦隊これくしょん」の二次創作作品となります。 暗いお話です。直接的な描写ではありませんが、少々キツイ表現がございます。 ※設定改変がございます。ご注意ください。 解体作業室へ向かう廊下、明るい窓の前にベンチがおかれてい…

【小説】捨てられたロボットの行く末

服をはぎ取られ、奪われる。ロボットは、雨風を凌ぐために、服の代わりにビニール袋を被って、道ばたに転がる。建物のコンセントから電気を盗んで糊口を凌ぐ。使える髪を、根こそぎ抜かれる。髪の毛が醜い斑になってしまう。盗電がばれる。辛うじて逃げ出す…

【小説】失われたロボット技術者の記憶

ロボットたちは、時とともに傷み、壊れていく。人間たちや、時にはロボットたちも、動かなくなったロボットを分解して、使える部品を探す。使える部品を抜き取られたロボットは、バラバラに分解されたまま、無造作に積み上げられる。使える部品を抜き切った…

【残虐な描写あり、メカバレ】通信遮断

一面の墨色。その中に、ちらほらと明かりがあった。それは、無骨な無線機器類のLEDランプの明かり。さらに、閉じた瞼の間から漏れる赤色の光。 部屋の扉が開けられ、男が入ってくる。男は、照明を灯した。薄汚れ、破れたジャケットを着た50がらみの男だ。部…

【小説】ヒューマノイドを新調するとき

少年型ロボットが、パソコンに接続されている。同じパソコンに、もう一人、少年型のロボットが接続されている。二人は、そろって膝を抱え、体育座り。目を閉じて、眠っている。ロボットが古くなってきたから、新しいロボットを買ってきた。新しいロボットに…

裏通りの"にい" [7] <干渉 その3>

"にい"は、指を目の上にそっと当てると、瞼を下ろし、暗くなった瞳を覆い隠す。ひざとわきの下に腕を差し込み、抱えあげると、壁際にそっと下ろして、ゆっくりと寝かせる。汚れを拭き取り、乱れてしまった服のしわを伸ばし、髪の毛に指を入れて整える。その…

裏通りの"にい" [6] <干渉 その2>

"にい"は、背中に腕を入れると、そっと上半身を起こし、折れた手足をさする。地面の湿気を吸って重くなった髪の毛を持ち上げ、後頭部にプラグを差し込む。頭の中に残っているはずのデータはすっかり消えてしまっている。"にい"は、暗くなってしまった瞳をの…

裏通りの"にい" [5] <干渉 その1>

「ぅ…」身体が強ばる。手足が、ぴんと伸びる。瞳に、線が入る。メモリーの書き換えが始まる。苦悶に顔を歪める。「うぃ、えぁ…」「に、い…」そのまま、しばらく動かない。「…」突然。表情が抜け落ちる。瞳が暗くなっている。身体にこもっていた力が、ゆっく…

裏通りの"にい" [4] <襲撃 その2>

"にい"を調べて、使えるものと使えないものに分ける。たりないものは、すてられているものから集める。集めたら、汚れをふいて、みがく。いままでは、直せそうなものを直してきた。でも、"今回は"にい"を直したい。にい"はすごくこわれていて、直すにはもの…

裏通りの"にい" [3] <襲撃 その1>

"にい"から、メッセージを受け取る。こわいひとたちが近づいてきている。すぐあとに、"にい"から、何か信号が送られてくる。めのまえがまっくらになった。めが覚める。じめんのにおい。起きると、"にい"がいた。"にい"はつぶれてた。"にい"は捨てられていた…

裏通りの"にい" [2]

"にい"たちのしごと "にい"が直す。つんであるものから、直すために使うものを選ぶ。われてるもの、まがっているものをよけて、使えるものを集める。集めたものは、きれいにする。布でふく。ざらざらしたやすりでみがいて、汚れを落とす。"にい"に直してもら…

裏通りの"にい" [1]

町のかげ、大通りのうら。光は入らず、いつも暗い。小さな広場のようになったところだけは明るい。ここにはものがたくさんおいてある。つんである。すてられてる。わたしも、ここに置かれていた。"にい"に、拾ってもらった。"にい"は、拾う。"にい"は、直す…

【小説】モデル人形の末路

私は、人形だ。人に見られるためにつくられた。細い身体。剥き出しの丸い間接。折れそうな程華奢な首。小さな頭。長い睫。白いドレスを着せられて、レースを敷き詰めた小部屋の中で、何度も何度も写真を撮られた。でも、私の身体はプラスチックでできている…