裏通りの"にい" [5] <干渉 その1>
「ぅ…」
身体が強ばる。
手足が、ぴんと伸びる。
瞳に、線が入る。
メモリーの書き換えが始まる。
苦悶に顔を歪める。
「うぃ、えぁ…」
「に、い…」
そのまま、しばらく動かない。
「…」
突然。
表情が抜け落ちる。
瞳が暗くなっている。
身体にこもっていた力が、ゆっくりと抜けていく。
そのまま、ゆっくり、ゆっくりとひざが曲がり、身体が沈んでいく。
バランスを崩して、背中から仰向けに倒れる。
手足は、まだいくらか強ばったままだった。
地面に付いた手足が、身体の重さに耐えかねて乾いた音を立てる。
でたらめな方向を向いてしまった四肢の上に、身体が覆い被さっていった。