hdnprgの日記

アンドロイド、ヒューマノイドを扱った小説を、思いつき次第公開します。諸事情により、他サイトでも投稿中@hdn_prg

【掌編】ロボットもの 匂やかな少女たちの喜戯

Tシャツの裾を掴み、まくりあげる。白い、つややかな背中が現れる。
「きれいね」
私は、背中に指を当て、そっとなで上げる。
「ははは、くすぐったいからやめてよ、もう」
ころっと丸く、小さな頭。ゆるやかに巻いた、鮮やかな銅色のヘアがくるんでいる。
「うん、やめたげる」
指を背中から浮かせて、すっと上へ。銅色の髪に差し込む。そのまま後頭部にあてがう。
「ねえ」
「なに?」
私の呼びかけに答えて、小さな頭が回る。銅髪の下から、ルビー色の瞳がこちらを見つめる。
私が黙っていると、この子はすっと息を吸い込み、頬を膨らませる。

ここだ。
後頭部に当てた指。
力を込める。
押し込む。
柔らかい感触。
そして、硬いもの。
カチリ。

ルビー色の瞳が、わずかに揺れる。
私は、私の顔を、ほんの少しだけずらす。
ルビー色の瞳は私を追わずに、ピントがずれたまま、きらりと光った。

この子の、ほんの少し開いた唇。その間から、ふーっと息が漏れて、私の顔に当たる。
私はたまらずに、この子の唇を、私の口で塞ぐ。漏れる息を吸い込むと、とろりと甘かった。

思っていたより、遙かに甘くて、美味しい。離れられない。私は、眼を閉じて味わった。
この子が吸いこんだ息を、私がどんどん吸い取っていく。私の胸越しに、息で膨らんだこの子の胸が、しぼんでいくのを感じた。

まだ、まだ行ける。
と、突然息が止まる。びっくりして、眼を開けると、ルビー色の瞳と目が合う。
びっくりして見開いた、私のエメラルドグリーンの瞳と、とても楽しそうに細められるルビーの眼。

後頭部が押し込まれる感覚。
コチリ、と音が響き
なにも感じなくなった。