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hdnprgの日記

アンドロイド、ヒューマノイドを扱った小説を、思いつき次第公開します。諸事情により、他サイトでも投稿中@hdn_prg

裏通りの"にい" [7] <干渉 その3>

"にい"は、指を目の上にそっと当てると、瞼を下ろし、暗くなった瞳を覆い隠す。ひざとわきの下に腕を差し込み、抱えあげると、壁際にそっと下ろして、ゆっくりと寝かせる。
汚れを拭き取り、乱れてしまった服のしわを伸ばし、髪の毛に指を入れて整える。
そのあと、服のポケットに手を入れ、小さな笛を取り出す。笛には、名前が書かれている。"にい"は、その笛を胸の上に置くと、片手ずつ取って胸の上に置き、指を組み合わせて笛を包み込んだ。

"にい"たちには、墓がない。
動けなくなると、使える物を抜き取られていく。使えないものも、くず鉄として集められ、溶かされる。
だから、今の"にい"たちは、過去の"にい"たちの寄せ集めでできている。

墓がない"にい"たちは、組み立てられてしばらくすると、それぞれ自分の"たからもの"を持つようになる。
"たからもの"は、広場の山のなかから拾ってきたもので、お金にはならない。
けれど、動けなくなればなにも残せない"にい"たちは、"たからもの"に名前を書き、肌身離さずに持ち歩く。動けなくなった後、身体が分解されて無くなっても、"たからもの"は集められて大切に保管される。