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hdnprgの日記

アンドロイド、ヒューマノイドを扱った小説を、思いつき次第公開します。諸事情により、他サイトでも投稿中@hdn_prg

彼女は私の頭の中、あるいは目の前に

ここは、私が領主様よりいただいた館。
私は、この館の主だ。

「オカエリナサイマセ」
私が館に入ると、メイドロボが出迎える。
私の靴を片づけ、外套を仕舞う。

今夜は時間がある。少し遊びたい。
「ちょっと来て」
「カシコマリマシタ」
メイドを引き連れて、私の居間に向かう。

パソコンラックにつるしたケーブルを手に取り、メイドロボの後頭部につなぐ。
「今から接続するわ。データを保存して、準備して」
「ワカリマシタ。カキコミチュウ……データ保存。接続準備完了シマシタ」
「ふうっ……」

小指を立てる。
これを、自分の右耳に突っ込む。
耳の穴の上側を指の腹で押し込む。
カシュッと音を立てて耳が"抜ける"。
私からは見えないが、手探りでケーブルを端子に接続する。
手鏡を使って、ケーブルの状態を確認、準備完了。
「よし」

私の記録装置から、ファイルを取り出す。巨大メモリ上で解凍。ここまでコンマ数秒。

「身体借りるわね」
返答を聞かず、ケーブルを介してメイドロボのボディにアクセス。
ボディのアクセス権を取得した。
「キュウン」
メイドロボからノイズが漏れるが、いつものこと、異常はない。

「……いつ見ても貧弱よねぇ」
メモリも演算能力も、私の1%程度しかない。
これでもよく働いてくれてる。
こういう遊びをしなければ、十分だ。

「じゃ、入れますか」
私のメモリ上に展開したファイルを実行。
私の高速演算装置上に、もう一つの人格を立ち上げる。
ただし、秘密たっぷりの私の身体はあげない。
かわりに、
「この子のアクセス権を、あげる」
ケーブルで繋がったメイドロボが、この人格のデバイスだ。

「調子はどう?」
私が語りかけて数秒後。
「ザザザ……またこの子の身体を使うのね」
メイドロボのスピーカーから、彼女らしくない流暢な言葉が流れる。
「文句言わない」
またたっぷり間をおいてから、
「だって、この子の身体使うとテンポ悪いじゃない。通信ポートだけでも新調してあげたら?」
ケーブルを介して、メイドロボが集めた情報をすべて私に送り込んでいるから、会話の時間差が大きい。
通信ポートが新しくなればラグは小さくなる。
いい案だ。私は笑みを浮かべる。
「今度はそうするわ」