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hdnprgの日記

アンドロイド、ヒューマノイドを扱った小説を、思いつき次第公開します。諸事情により、他サイトでも投稿中@hdn_prg

【小説】失われたロボット技術者の記憶

ロボットたちは、時とともに傷み、壊れていく。
人間たちや、時にはロボットたちも、動かなくなったロボットを分解して、使える部品を探す。
使える部品を抜き取られたロボットは、バラバラに分解されたまま、無造作に積み上げられる。使える部品を抜き切ったガラクタの山が、出来上がった。

昔、こういったスクラップの山から、次々と動くロボットを組み上げる人間がいた。彼女の真似をしようと、多くの人間がスクラップの山に登ったが、誰一人としてロボットを組み上げることはできなかった。
彼女は、ただ一体のロボットを手元に残し、他のロボットは全て売り払った。彼女は、手元に残したロボットに彼女の技術の全てを教え込んだ。彼女と1体のロボットは、ただひたすらロボットを組み上げ続け、ある時突然姿を消した。
それからしばらくして、彼女は別の町で病死した。人々は、彼女が連れていたロボットを血眼になって探した。ロボットは町の隅に捨てられていたが、彼女の知識が詰まった記録装置は抜かれていた。記録装置は、今に至るも見つかっていない。

政府は、限られた資源を平等に配布する、という名目ですべての工場・農場を国有化した。国民には労働力としてロボットを配給したために、町はロボットで溢れ返った。
ロボットは古くなると修理もされずに打ち捨てられ、行政はこれをかき集めて再資源化していく。吐き出されるゴミに対して、再資源化は追いつかず、再資源化から逃れたロボットたちが様々な場所に隠れ住んでいた。

人間の管理下にないロボットの増加は、社会問題なってきた。行政は、野良化した"動けるロボット"や、ロボットたちが補修部品を調達している"状態が良いスクラップ"を優先して再資源化する方針を取るようになった。
ロボットたちは、すぐに補修部品に窮するようになった。動けなくなった野良ロボットたちが次々に捕まり、再資源化されていった。

野良ロボットたちや行政は、「彼女のロボット」の記憶装置を、未だに探し続けている。