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hdnprgの日記

アンドロイド、ヒューマノイドを扱った小説を、思いつき次第公開します。諸事情により、他サイトでも投稿中@hdn_prg

秘密の乗り移り歩き

大都市の地下街、十字路の真ん中。
四方に伸びる通路の両側はすべて商店となっていて、店員が忙しく動き回っている。
それらの通路に向けて、絶え間なく人が行き交う広場の中央には、巨大なガラスのオブジェが置かれている。

 

スーツ姿の女性ロボットと、私は、並んでオブジェの前に立つ。
「次はどこに行けばいいんだい?」
私が問いかけると、女性は腕をすらりと上げ、右を指す。
「あちらへ進んで」
私が歩き出すと、女性も横に並び歩き出す。
と、突然、女性は立ち止まった。私は構わずに先へ進む。
私がちらりと後ろを見ると、広場に戻っていく女性の後ろ姿があった。

 

「不便じゃないか?」
私は、独り言のように声を出した。
「そうでもないわ」
私の前を歩いている、茶髪の少女が答えた。
少女は、歩みを緩めて、私の横に並んだ。
首元に埋め込まれたタグが、彼女もまたロボットであることを示している。
少女の首からは、洋服店の名札が下がっている。私は、少女に
「店番はどうしたんだい?」と問う。少女は、名札を指で弄びながら、
「さあ、ちょっと休憩くらい良いじゃない」
と、軽く答える。私は、くるくる回される名札を見ながら、気の毒に、と思った。

 

正面に、地下通路いっぱいに広がった学生の集団が現れた。やむなく通路の端に寄った通行人たちが、もの言いたげな視線を向けるが、子どもたちは気づく気配がない。私たちも、2人並んでは通れない。少女は軽く舌打ちすると、肩を差し入れ、私の前に入った。

と、少女が急に立ち止まった。私は止まれず、少女に当たってしまう。少女は私が当たっても、数歩ふらついただけで、視線さえ向けてこない。
私は少女を無理やり避けると、少女に構わずに先に進んだ。

 

「タイミングってものがあるだろう」
私は振り返って、駆け足で店に戻る少女を見ながら毒づいた。
「しょうがないわ。そこまで操作できないんだから」
学生服を着た、丸坊主の少年が答える。
私は、少年を見て、驚きのあまり固まった。少年は、そんな私を見ながら、にまりと口角を上げると、
「何よ、そんなに驚いて。男型を使うのは初めてじゃないでしょう?」
と言った。何も言えず、つい、ため息が出てしまう。私は、頭を軽く振り、気を取り直して、
「で、次はどこに行くんだ?」
と聞いた。