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hdnprgの日記

アンドロイド、ヒューマノイドを扱った小説を、思いつき次第公開します。諸事情により、他サイトでも投稿中@hdn_prg

逃走

白髪の少女と、同じく白髪の少年。

同じ姿をした、無表情の少年少女に囲まれている。
全員の手には、金色の短槍が握られている。

囲まれた少年と少女は、短槍を操り、襲いかかってくる刺客をひるませ、倒す。
背中合わせで、互いが互いを守る。

少女の正面で、包囲に穴が出来る。
少女は、少年の手を取ると、素早く包囲を突破する。
手を取り合ったまま、通路を駆ける。

少女たちは、通路の曲がり角にさしかかる。横から明るい光が差し、少女たちを照らす。
直ぐ目の前に外への出口がある。

向かおうとする少年は、しかし、突然腕を強く引かれた。手をつないでいた少女は、胸を金色の槍で貫かれ、壁に叩きつけられていた。
少女は、少年をにらみ付け、
「行け!」
と叫んだ。

少年は、出口に向き直り歩きだした。

「…ジ、行げェッ!…ガガ」
少女がもう一度声を振り絞る。

少年は、弾かれるように走り出した。
外の世界は、もう目の前にあった。

が、突然足から力が抜ける。駆けた勢いのまま、通路にもんどり打って転がる。顔面を床に叩きつけて、止まった。

少年の付けている首輪が鋭く点滅している。少年の頭の中でピ、ピ、と電子音が響く。その度に、足の先、ふくらはぎ、太もも、と身体の自由が利かなくなり、力が抜けていく。
少年は、それでも諦めなかった。まだ動く腕を使って身体を持ち上げ、前に進んでいく。

通路の外に出る直前、少年の身体は大きく傾いだ。少年は、腕を伸ばせるだけ前にのばし、指の先で床を掻いた。
すると、手のひらが敷居を越えて、外の世界に出た。
それを必死に求めていた少年の瞳には、しかし、すでに光が無かった。

少年の背後で倒れている少女には、まだ意識があった。少年が動かなくなるまでの一部始終を、ぼんやりした視界の中で眺めていた。

やがて、外から一つの人影が現れた。少女と同じ姿をしていた。

入り口に倒れ込んだ少年を一瞥する。その少女は、一切表情を変えず、少年が伸ばした腕を蹴りとばした。
腕は、力無く舞い、少年の頭の上に乗った。手のひらが、少年の耳をたたいて、バチリと音を立てた。

後ろで、瀕死の少女が、全てを見ていた。