hdnprgの日記

アンドロイド、ヒューマノイドを扱った小説を、思いつき次第公開します。諸事情により、他サイトでも投稿中@hdn_prg

【小説】人形劇

「宝物なんです」
彼は、優しくはにかみながらそう言った。
愛おしそうに撫でる。

無数の棘に覆われた鉛色の球体を。

ギギギギギ・・・

小さな手のひらに、痛々しい傷を加える。
もし、彼に血が通っていれば、球体は真っ赤に染まっているだろう。
表面には、彼の皮膚を飾っていた塗装が幾らか引っかかっている。

何を思い、彼にハリネズミを与え、磨き続けるように仕込んだのか。
即座に命令に従って、自傷を始めた彼を見て、何を思ったのか。