2013-05-13 【小説】人形劇 小説 人形 少年 破壊 「宝物なんです」彼は、優しくはにかみながらそう言った。愛おしそうに撫でる。無数の棘に覆われた鉛色の球体を。ギギギギギ・・・小さな手のひらに、痛々しい傷を加える。もし、彼に血が通っていれば、球体は真っ赤に染まっているだろう。表面には、彼の皮膚を飾っていた塗装が幾らか引っかかっている。何を思い、彼にハリネズミを与え、磨き続けるように仕込んだのか。即座に命令に従って、自傷を始めた彼を見て、何を思ったのか。